国会議員は、政治資金の適正な使用を

 

東京税理士政治連盟 会長 名倉明彦

 

第213回通常国会において本年3月28日、所得税法等の一部を改正する法律案等が参議院で可決、成立いたしました。これにより、本連盟が令和6年度税制改正で要望していた①法人版事業承継税制における特例承継計画の提出期限の2年延長、②賃上げ促進税制の税額控除制度について、中小企業においては控除限度超過額を5年間繰越可能とする、③外形標準課税の対象を中小企業には広げない等が正式に法律として成立し、実現することとなりました。これらの要望事項実現のためにご尽力くださいました税政連役員や陳情・懇談会等で本連盟の要望に耳を傾けてくださった国会議員の方々、さらに本連盟を支えてくださっている会員の皆さまに感謝申し上げます。

さて国会といえば、自由民主党各派閥パーティーに関する政治資金収支報告書への不記載の問題が想起されます。本原稿執筆時点(令和6年4月4日)では、党から処分された議員の動向に関心が集まっているようですが、税務の専門家としては、それ以外の観点からいくつか問題を提起せざるを得ません。ひとつには、政治資金収支報告書に記載のない金銭(政治資金として使用していないもの)については、議員個人の雑所得とみなされることから、所得税としての課税の問題が発生します。また、政治資金収支報告書等の適正性を確保するために登録政治資金監査人が置かれており、税理士や弁護士、公認会計士が全国で約5000名登録されています。ところが皆さまもご承知のとおり、この登録政治資金監査人は、政治資金の支出の額を監査するだけで、使途や収入については監査しないため、適正性を欠くものとなっています。政治と金の問題は古くて新しい問題であり、その解決のために様々な方策が講じられてきましたが、今までのところ抜本的な解決策にはなっていないのが現状です。

税理士政治連盟としては、全ての国会議員が政治資金を適正に使用し、また適正な納税申告を行うことを期待するものであります。

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