令和4年度運動方針
一 運動方針
わが国を襲った新型コロナウイルスは、感染者数の増減を繰り返し、すでに2年半が経過した。令和4年2月には、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、ロシアに対する経済制裁にともない原油・原材料価格は大幅に高騰することとなった。その結果、わが国を含む世界諸国は、インフレーションの波に大きく飲み込まれることとなった。
さらにわが国は、低金利政策により、主要通貨に対して大幅な円安状態に陥っており、経済面ではトリプルパンチを受けている状態となっている。これに対して、経済活動の再開に向けては依然として十分な取り組みができていない状態が続いている。
1月より施行された「改正電子帳簿保存法」は、企業側の準備体制が整っていないこと等により、最終的には2年間の宥恕処置が設けられたうえでの施行となった。また、7月に行われた参議院選挙では、景気対策として多くの政党が消費税の廃止・引下げを主張することとなった。
このような中で、「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」の施行に向けた最終局面を迎えることとなった。本連盟は、納税者・中小企業にとって少しでも負担の少ない制度となるよう運動を進めていく。
令和5年度の重要要望項目として、「インボイス方式導入について、延期又は実務を踏まえた柔軟な運用を行うこと(消費税)」「非課税取引の範囲を最小限にすること(消費税)」「基礎控除へのシフトと基礎的な人的控除の引上げ(所得税)」の3項目を挙げた。個別要望項目として、「災害損失控除の創設(災害対応税制)」「年末調整・確定申告期間の1ヶ月うしろ倒し(所得税)」ほか8項目を挙げた。
本連盟は、混迷が深まる社会情勢のなかで、税理士の社会的・公共的使命を一層自覚しつつ、税理士に対する社会的評価の向上をめざし、日本税理士政治連盟、東京税理士会、単位税政連及び国会議員等後援会との連携を図り、納税者及び中小企業とともに、次に掲げる運動方針を強力に推進していく。
1.社会の要請する国民のための税理士制度の確立
2.憲法の理念に立脚した公平な租税制度の確立
3.納税者の声が反映された税制の確立
4.租税立法手続の透明性の確立
5.税務行政における適正手続の確立
6.中小企業のための企業法制の確立
7.税理士の公益的業務への参画
8.社会の変動に対応した税政連の組織及び運動の確立
二 重点運動
上記の運動方針に基づき、国会及び地方議会関係者、日本税理士政治連盟、中小企業団体及び消費者団体等との連携並びにマスコミ対策を強化し、次の重点運動を強力に展開する。
1.税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から更なる税理士制度の発展を目指して、税理士法改正の実現に向けた運動を行う。
2.税の専門家として、中小企業に過重な負担をもたらすことのないよう、納税者の声が反映された税制改正を実現するための運動を行う。
3.マイナンバー制度の導入が申告納税制度に与える影響を検討し、適切に対応する。
4.東京税理士会、支部、単位税政連との連携を図り、組織強化及び財政確立のための運動を行う。
5.本連盟の政策実現を図るための真の代表を国会及び地方議会に送るため、単位税政連及び国会議員等後援会と連携しつつ強力な運動を行う。また、新たな国会議員等後援会の設立を促進する。
6.納税者の権利利益を擁護する立場から、税務行政の改善及び適正手続の確立を図る国税通則法の目的規定の改正と納税者権利憲章を策定するための運動を行う。
7.政府における規制・制度改革の動向を注視しつつ、税理士制度に与える影響に適切に対応する。
8.司法制度に対しては、国民のための司法制度構築をめざし、税理士の立場を踏まえて積極的な役割を担うための運動を行う。
9.災害関連税制については、被災者に対し、より一層の税制面からの支援が必要であるため、迅速な被災者支援を可能とするための税制確立に向けた運動を行う。
10.税理士に期待される社会的役割を踏まえて、登録政治資金監査人制度、地方自治体・地方独立行政法人等の監査制度、行政不服審査法改正に伴う審理員制度の充実等に資するための公益的業務に積極的に参画していくための運動を行う。
11.税理士法第52条違反行為等、業務及び職域の侵害となる動向に対して厳格に対応する。
12.国及び地方公共団体の公会計制度改革(複式簿記・発生主義会計)の実現のための運動を強力に行う。
13.国民に信頼される民主的な租税制度の発展に資するため、国民のための租税教育及び簿記会計の普及、促進を行う。
14.本連盟の活動状況の広報を充実し、会員及び外部関係者からの意見集約に努めつつ、積極的な活動を行う。
15.コロナ禍における税制措置、経済政策に迅速に対応し、中小企業者への支援を行う。